主な対象疾患

主な対象疾患

適応障害

職場や学校などの社会生活を営む中で、不安定な人間関係や過酷な労働環境、本人に合わないポジションなどによって、不安や抑うつ、仕事や学校に行くことができなくなる、などの症状が出てきます。

うつ病と違って、ストレス因子が原因とされるため、ストレスを軽減することが一番大切です。

そのためには診断書を作成し休養をとっていただくことや、上司や保健師、学校の先生などと環境調整を行うことが中心となります。

薬物療法は、補助的に使用することは多いのですが、環境調整と本人のストレス耐性向上のための心理療法が有効です。

うつ病

気分の落ち込み、意欲低下、集中困難、不眠、食欲低下などが続き社会生活に困難をきたしてしまう疾患です。年々、うつ病にかかる人は増加しており、日本人の15人に1人がかかるという報告があります。きちんとした治療によって改善しやすいため、早期の治療が有益です。

うつ病は脳の前頭前野の機能低下やドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリン神経系の不調和によって起こると言われています。理由なく起こることもありますし、身体疾患や薬物の影響で起こることもあります、また環境や心理的な要因が引き金になることも多いです。「気の持ちよう」「気晴らし」などで回復するものではないため本人も周囲も病気への理解が重要な疾患です。

治療としては疲弊した脳に刺激を与えないための「安静休養」と脳の回復力を助けるための「薬物治療」が基本となります。軽症の場合には、「安静休養」か「薬物療法」のどちらかだけを行って経過を見ることもあります。また心理療法(カウンセリング)も十分な効果があるという医学的証拠も多く報告されています。

全般性不安障害

人生の様々な不安を敏感に受け止めて、深刻に悩んでしまう障害です。例えば人前での発表、いじめ、試験、営業成績、自分や家族の病気、老後の経済などの不安と心配の種をいくつも深刻に考えて不安になってしまいます。

いったん不安になると、仕事が手につかず、最悪のシナリオがすぐに起こるような気がしてじっとしていられなくなったりします。時には不安が高ぶり、胸が苦しく、過呼吸になってしまうこともあります。

治療には、心理療法で考え方のクセを変化させたり、抗不安薬や睡眠薬などでゆったりとした状態を作るというものがあります。

パニック障害

特別の原因はないのに、強い恐怖感とともに、動悸や呼吸困難、発汗などが急激に出現する発作(パニック発作)を繰り返してしまいます。発作が実際になくても「また発作が起こったらどうしよう」という不安に悩まされ、行動範囲が極端に狭まってしまう事があります。

すぐに逃げられない場所、例えば電車やバス、交通渋滞や高速道路の運転、歯科、美容室などの状況が引き金になることが多いです。

パニック障害は自律神経の一過性の機能変化と考えられています。抗不安薬や抗うつ薬(SSRI)などの薬物療法が効果的ですが、それ以外にも心理療法(認知行動療法や心理教育)、暴露療法などが有効です。

社交不安障害

対人や社交の場面(会食、会議、人前での発表や、字を書くなど)で「恥ずかしい思いをするのではないか」「相手に不快感を与えてしまうのではないか」と考えてしまうあまり、強い恐怖や不安感を感じてしまう障害です。

多くは「赤面する」「手足や声が震えてしまう」「汗や動悸がとまらない」という身体症状を伴うため、周囲に気がつかれないように過剰に心配してしまい、結果として症状が悪化するような悪循環に陥ることが多いです。

脳の扁桃体という部分のセロトニンが関係していると考えられておりSSRIというセロトニン神経を調整する薬剤を用いることで改善が見られることが多いです。また、月に数回だけ人前で発表するときに症状が出るような限局的な症状であれば臨時的に抗不安薬を服用することで十分な場合もあります。

そのほか、心理療法、暴露療法、ソーシャルスキルトレーニングなどが有効であるとされています。

過敏性腸症候群/神経性頻尿

下痢や便秘などの便通異常を伴う腹痛や腹部不快感が慢性的に繰り返されるような病気です。大切な会議や試験前などに症状が強く出やすいものです。

また同様に、ストレスや精神的緊張によって尿意を覚えて、トイレに行き排尿を繰り返すのが神経性頻尿です。

どちらも絶えずトイレを気にしていないといけないなど日常生活での行動制限が強く、外出するのが辛くなることが目立ちます。過敏性腸症候群や神経性頻尿については薬物療法や行動療法などを用いながらストレスから身体に出る症状の経路を緩和する方法をとります。

強迫性障害

強迫観念と強迫行為によって日常生活に支障をきたす障害です。強迫観念とは「頭の中に強制的に考えやイメージが繰り返し浮かんでしまい自分ではなかなかぬぐえない状態」であり、強迫行為とは「考えに従って繰り返し行動とってしまう状態」です。典型例としては「何度も手を洗ってしまう」「鍵やガス、スイッチなどを何度も確認する」「運転中だれかをひいてしまったのではないか」と不安になる、などです。

どの場合にも、自分自身では心配ないと思っていてもどうしても気になってしまうのが特徴になります。

近年、脳科学研究が進歩し脳内物質の増減(特にセロトニン・ドーパミン)が関係していると言われており薬物療法が効果的です。薬物療法で治りきらない場合は心理療法を併用する場合もあります。

摂食障害

摂食障害は主に食べることを拒否してしまう「拒食症」と反対に際限なく食べ続けてしまう「過食症」の2つのタイプがあります。

またこの二つが交互に繰り返されてしまうことも多く見られます。摂食障害はとくに女性に多く見られます。過食・嘔吐などで体力やお金・時間がかかるため日常生活に多くのエネルギーを使ってしまい支障が出てきます。

また多くの場合はなかなか人に相談することができないため、長引いてしまうことが多くなります。

薬物療法や心理療法が効果的ですが、一定以下の体重(目安は平均的な身長で30kg以下)になってしまった場合には、生命の危険もあるため入院が必要な場合もあります。

月経前症候群

月経の始まる数日まえから気分が落ち込んだり、イライラや不安感が強くなったり、悲しい気持ちになったり、過眠や過食がでてきたりします。頭痛や腰痛、むくみ、便秘、吐き気などの身体症状をともなうことが殆どです。月経が始まるとともに症状がなくなることが特徴です。

多くの女性は月経前に不安定になることはありますが、その症状の程度が重く、日常生活に支障が出てくるようなときには治療が必要になります。

女性ホルモンが月経周期で増減しており、月経前にエストロゲンというホルモンが低くなった結果として、脳内のセロトニン神経の働きが減弱することが関係していると言われています。

治療としては、漢方薬や抗不安薬、避妊用の低用量ピル、SSRIという種類の抗うつ薬などが効果的です。

マタニティーブルー・産後うつ・産後不安障害

産後数日〜数週間の間に情緒不安定になったり、涙もろくなったりする場合を「マタニティーブルー」と呼び、その後、抑うつ気分などを伴って長引いりした場合を「産後うつ」と呼びます。いずれも出産前後の急激なホルモン変化や子育ての不安などが重なって起こると言われています。おおかれ少なかれほとんどの女性に起こると言われていますが、気分や情緒の波が大きく本人・家族が困っている場合には治療が有効です。

更年期障害

閉経を迎える前後10年程度(一般に45歳から55歳)のことを更年期と呼びます。更年期には女性ホルモンの急激な減少が起こるため、引き続いて脳内のホルモンの異常がおこり自律神経のバランスが取れなくなります。更年期にあたる女性の3割程度に起こると言われています。

のぼせや顔のほてり感、発汗や動悸、頭痛などの身体症状だけではなく、イライラや不安感、落ち込みや集中力低下などの精神的な症状が目立ってきます。

漢方薬や抗不安薬、必要に応じて抗うつ薬が効果的であると言われています。

むずむず足症候群(レストレスレッグス)

じっと座ったり、横になったりすると足や体がムズムズしたり、ピリピリしたり、かゆみや重だるさを感じたりします。夕方から夜間にかけて症状が重くなることが多く、睡眠障害の原因になることが多く見られます。

原因としては、脳内のドーパミンの減少や血中の鉄分の減少などが報告されています。薬物療法や栄養療法が改善のために有効とされています。

不眠症

不眠の結果、日中の作業効率が下がったり、集中力が落ちてミスが増えたりすることがあります。さらに日中の眠気に加えて頭痛や肩こり、めまいなどの身体症状も伴うことが多いです。

「なかなか寝付けない」という入眠困難型の方が最も多いですが、中途覚醒や早朝覚醒、熟眠障害を訴える方もいます。誤った方法で無理な努力をすることでかえって興奮や緊張を引き起こし、逆に睡眠が妨げられる、という悪循環になりやすいです。

治療としては睡眠指導や薬物療法、睡眠制限療法、自律訓練法、運動療法などがあります。

夜間に無呼吸状態を繰り返して日中にぼっーとしてしまう睡眠時無呼吸症候群が不眠の背景にある場合もありますので、その場合には検査が必要になります。

みらいクリニック

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